研究から見る企業キャラクター / 親しみを育てる

企業キャラクターは、「親しみや愛着」を育てられる?

先に結論

ブランドを人らしく表すことで、感情的な愛着が高まった実験は複数あります。ただし、企業キャラクターだけによる長期の購買や売上への効果を示す証拠は限られています。

分かっていること
人らしく表したブランドへの愛着が高まった実験があります。「誰かがいる感じ」や安心感、受け入れられる感覚とのつながりも調べられています。
条件
事業とキャラクターの人格を一致させる
まだ分からないこと
企業マスコットだけで、長く続く愛着や実際の購入、売上・利益が生まれるかという直接の効果は、まだ分かりません。

研究で比較的分かっていること

人らしく表したブランドへの愛着が高まった実験があります。「誰かがいる感じ」や安心感、受け入れられる感覚とのつながりも調べられています。

一度見て「かわいい」と思うことと、企業への愛着は同じではありません。

どんな条件が重要そうか

  • 事業とキャラクターの人格を一致させる
  • 口調や振る舞いを一貫させる
  • 繰り返し会い、顧客の役に立つ経験を重ねる
  • 対話や共有できる思い出をつくる

代表研究

何を比べ、何が変わったのか。対象や条件と一緒に読みます。YataLogicによる実務への読み替えは、研究結果と分けて表示しています。

この条件では正の差近い領域の研究

ブランドを人のように感じることと愛着

宿泊・サービスの場面を扱った実験では、ブランドを人間のように表した条件で、感情的なブランドへの愛着が高くなりました。肯定的な感情が、その関係の一部を説明していました。

研究では何を比べた?
ブランドを人間のように表す条件と、その表現を使わない条件
何を測った?
ブランドに対する感情的な愛着
対象
宿泊・サービス領域
ここまでは言えません

企業マスコット画像だけの結果ではありません。長期の売上や、すべての文化にそのまま広げられる結果でもありません。

YataLogicでの読み方:見た目だけでなく、お客さまがよい関係だと感じられる経験を考えます。

研究について詳しく見る(ブランドを人のように感じることと愛着)
研究デザイン
3実験
比較・研究条件
擬人化あり vs なしの3実験
測定指標
感情的ブランド愛着
主な結果
擬人化条件で感情的ブランド愛着が高く、肯定的感情が経路の一部を説明。
主要数値(尺度は研究ごとに異なります)
3実験
言えること
ブランドを人間らしい存在として感じさせることは愛着を高めうる。
重要な限界
企業マスコット画像だけ、長期売上、全文化への一般化はできない。
数値や研究方法についての補足へ ↓

Ma, J., Tu, H., Zhou, X., & Niu, W.(2023)

Can brand anthropomorphism trigger emotional brand attachment?

The Service Industries Journal

原論文・原資料を見る(外部サイト・新しいタブで開きます)
この条件では正の差近い領域の研究

安心して関われる感覚と愛着のつながり

架空の飲料ブランドの実験では、人間らしく表す広告の条件でブランドへの愛着が高い結果でした。安心感や受け入れられる感覚、自分にもできそうという感覚が関わる経路は支持されましたが、自尊感情の経路は支持されませんでした。

研究では何を比べた?
人間らしく表した飲料ブランドの広告と、比較する広告
何を測った?
ブランドへの愛着と、安心感などとの関係
対象
架空飲料ブランド・n=201
ここまでは言えません

ベトナムで集めた参加者による、一つの架空ブランドへの一度の接触後の自己申告です。長期の愛着や購買は分かりません。

YataLogicでの読み方:かわいさに加えて、お客さまが安心して関われる役割を設計します。

研究について詳しく見る(安心して関われる感覚と愛着のつながり)
研究デザイン
実験
比較・研究条件
擬人化広告 vs 対照
測定指標
ブランド愛着・媒介要因
主な結果
擬人化群の愛着が高く、自己効力感・帰属感・心理的安心感の媒介が支持。自尊感情は支持されず。
主要数値(尺度は研究ごとに異なります)
n=201
言えること
愛着には『安心できる・受け入れられる・自分にもできそう』という経験が関係し得る。
重要な限界
単一の架空飲料、ベトナム便宜標本、単回接触の自己申告。
数値や研究方法についての補足へ ↓

Nguyen, N. P. P., Bui, T. T., & Ha, A. Q.(2024)

The role of brand anthropomorphism in building brand attachment: The experiment research on beverage brands

HCMCOU Journal of Economics and Business Administration

原論文・原資料を見る(外部サイト・新しいタブで開きます)
関係やそのつながりを検討近い領域の研究

画面の向こうに誰かがいる感じ

ブランドのSNSページを扱った実験では、人間らしい表現が「誰かがいる感じ」を高め、それがブランドとの関係の強まりに関わっていました。投稿への「いいね」も増えていました。

研究では何を比べた?
ブランドを人間らしく表したSNSページを扱った実験
何を測った?
誰かがいる感じ、ブランドとの関係、投稿への反応
対象
SNSブランドページ
ここまでは言えません

「いいね」が増えたことを、ブランドへの愛着そのものや売上の証拠とは呼べません。

YataLogicでの読み方:一人称・口調・返答の仕方に一貫性を持たせます。

研究について詳しく見る(画面の向こうに誰かがいる感じ)
研究デザイン
縦断実験
比較・研究条件
ブランド擬人化SNSページ
測定指標
社会的存在感・ブランド関係・反応
主な結果
擬人化が社会的存在感を高め、ブランド関係の強化を媒介。投稿へのいいねも増加。
主要数値(尺度は研究ごとに異なります)
縦断実験
言えること
人間らしさは『画面の向こうに誰かがいる』感覚を作る経路になり得る。
重要な限界
いいね増加をブランド愛着そのものや売上の証拠とは呼べない。
数値や研究方法についての補足へ ↓

Kim, T., Sung, Y., & Moon, J. H.(2020)

Effects of brand anthropomorphism on consumer-brand relationships on social networking site fan pages: The mediating role of social presence

Telematics and Informatics

原論文・原資料を見る(外部サイト・新しいタブで開きます)

あわせて確認した研究

関係やそのつながりを検討企業キャラクターに比較的近い研究

キャラクターへの信頼と、ブランドへの評価

広告などでブランドを伝えるキャラクターの研究では、キャラクターを信頼することと、ブランドへの好意的な評価の関係が扱われています。企業との関係づくりを考える手掛かりになります。

研究では何を比べた?
ブランドを伝えるキャラクターへの信頼と、ブランドへの評価の関係
何を測った?
キャラクターへの信頼、ブランドへの好意的な評価
対象
消費者
ここまでは言えません

長期的なブランドへの愛着や売上を、キャラクターが直接生み出したという結果ではありません。

YataLogicでの読み方:キャラクターを通じて実際に役立ったと感じる経験を積み重ねます。

研究について詳しく見る(キャラクターへの信頼と、ブランドへの評価)
研究デザイン
調査・モデル検証
比較・研究条件
スポークスキャラクターの信頼とブランド態度
測定指標
キャラクター信頼・ブランド態度
主な結果
キャラクターへの信頼と肯定的ブランド態度の関係を扱う。
主要数値(尺度は研究ごとに異なります)
スポークスキャラクター研究
言えること
企業キャラクターは関係形成の一手段になり得る。
重要な限界
長期的なブランド愛着や売上の直接因果ではない。
数値や研究方法についての補足へ ↓

Garretson, J. A., & Niedrich, R. W.(2004)

Spokes-characters: Creating character trust and positive brand attitudes

Journal of Advertising

原論文・原資料を見る(外部サイト・新しいタブで開きます)

うまくいかなかった研究・注意点

商品や企業が失敗した場面では、人らしさが評価を悪化させる場合もあります。キャラクターを好きなことと、企業そのものに愛着があることは分けて考えます。

特定の条件では逆効果近い領域の研究

企業の失敗が、人柄の問題に見えることも

企業や商品が問題を起こした場面では、人間らしく表されたブランドの失敗が、人柄の問題のように受け取られる場合がありました。その結果、ブランドへの評価が悪化する可能性が示されています。

研究では何を比べた?
企業や商品の失敗時に、ブランドを人間らしく表す条件
何を測った?
ブランドへの評価、失敗の責任をどう受け取るか
対象
消費者
ここまでは言えません

企業や商品の失敗時に関する結果です。すべての失敗で必ず評価が悪化する、という意味ではありません。

YataLogicでの読み方:重大な問題はキャラクターに抱え込ませず、人が対応する仕組みに切り替えます。

研究について詳しく見る(企業の失敗が、人柄の問題に見えることも)
研究デザイン
複数実験
比較・研究条件
企業・商品の失敗×擬人化ブランド
測定指標
ブランド評価・責任帰属
主な結果
失敗時には擬人化が人格的欠陥として受け取られ、評価を悪化させる場合がある。
主要数値(尺度は研究ごとに異なります)
複数実験
言えること
人間らしさは期待や責任帰属も強める可能性。
重要な限界
すべての失敗場面で必ず逆効果という意味ではない。
数値や研究方法についての補足へ ↓

Puzakova, M., Kwak, H., & Rocereto, J. F.(2013)

When Humanizing Brands Goes Wrong: The Detrimental Effect of Brand Anthropomorphization amid Product Wrongdoings

Journal of Marketing

原論文・原資料を見る(外部サイト・新しいタブで開きます)

差が確認できなかったことは、あらゆる場面で効果がないという意味ではありません。逆効果も、そこで調べた条件の結果として読みます。

YataLogicでは、こう考えます

以下は、複数の研究を実務向けに整理した設計のヒントです。自社で同じ結果が出ると保証するものではありません。

研究で分かったこと

宿泊・サービスの場面を扱った実験では、ブランドを人間のように表した条件で、感情的なブランドへの愛着が高くなりました。肯定的な感情が、その関係の一部を説明していました。

YataLogicでの応用

見た目だけでなく、お客さまがよい関係だと感じられる経験を考えます。

元の研究と条件を確認する ↑
研究で分かったこと

架空の飲料ブランドの実験では、人間らしく表す広告の条件でブランドへの愛着が高い結果でした。安心感や受け入れられる感覚、自分にもできそうという感覚が関わる経路は支持されましたが、自尊感情の経路は支持されませんでした。

YataLogicでの応用

かわいさに加えて、お客さまが安心して関われる役割を設計します。

元の研究と条件を確認する ↑

実際に使ったら、何を見る?

任せた仕事に合わせて、次の反応を分けて確認します。

  • キャラクター自体が好きか
  • 企業に親しみを感じるか
  • 企業を信頼するか
  • 自分とのつながりを感じるか
  • また関わりたい・人に薦めたいと思うか

研究についての補足

本文は数字を読まなくても分かるようにしています。統計値の意味を確かめたい方はこちらをご覧ください。

数値や研究方法の意味を確認する

数値は、研究で測った差や不確かさを確かめるための補足です。異なる指標を同じ「改善率」に置き換えることはできません。

NS / 有意差なし
統計的に明確な差を確認できなかった状態。 『効果がゼロと証明された』とは限らない。 『この条件では有意差が確認されなかった』と書く。

本ページの整理は、YataLogicが複数の研究を実務向けに読み合わせたものです。科学的に確立された独自モデルではありません。

参考文献

このページでは5論文・資料の5件の結果を扱っています。同じ論文の別の結果は、分けて紹介しています。

  1. Ma, J., Tu, H., Zhou, X., & Niu, W.(2023)

    Can brand anthropomorphism trigger emotional brand attachment?

    The Service Industries Journal

    原論文・原資料を見る(外部サイト・新しいタブで開きます)

    紹介した結果:ブランドを人のように感じることと愛着

  2. Nguyen, N. P. P., Bui, T. T., & Ha, A. Q.(2024)

    The role of brand anthropomorphism in building brand attachment: The experiment research on beverage brands

    HCMCOU Journal of Economics and Business Administration

    原論文・原資料を見る(外部サイト・新しいタブで開きます)

    紹介した結果:安心して関われる感覚と愛着のつながり

  3. Kim, T., Sung, Y., & Moon, J. H.(2020)

    Effects of brand anthropomorphism on consumer-brand relationships on social networking site fan pages: The mediating role of social presence

    Telematics and Informatics

    原論文・原資料を見る(外部サイト・新しいタブで開きます)

    紹介した結果:画面の向こうに誰かがいる感じ

  4. Garretson, J. A., & Niedrich, R. W.(2004)

    Spokes-characters: Creating character trust and positive brand attitudes

    Journal of Advertising

    原論文・原資料を見る(外部サイト・新しいタブで開きます)

    紹介した結果:キャラクターへの信頼と、ブランドへの評価

  5. Puzakova, M., Kwak, H., & Rocereto, J. F.(2013)

    When Humanizing Brands Goes Wrong: The Detrimental Effect of Brand Anthropomorphization amid Product Wrongdoings

    Journal of Marketing

    原論文・原資料を見る(外部サイト・新しいタブで開きます)

    紹介した結果:企業の失敗が、人柄の問題に見えることも

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