研究から見る企業キャラクター / わかってもらう

企業キャラクターは、「わかってもらう」ことを助けられる?

先に結論

置くだけで説明が分かりやすくなるとは言えません。見る場所や順番を案内し、疑問を言葉にする仕事を持たせることが大切です。

分かっていること
教育用の画面キャラクターや、人らしく表した教材、意味のある指差し、具体的な問いかけで、学習成果に小さい〜中程度の正の差を示した研究があります。
条件
1画面で任せる仕事を1つにする
まだ分からないこと
企業の営業資料に置くキャラクターそのものが、理解を助けるかという直接の効果は、まだ分かりません。

研究で比較的分かっていること

教育用の画面キャラクターや、人らしく表した教材、意味のある指差し、具体的な問いかけで、学習成果に小さい〜中程度の正の差を示した研究があります。

どんな条件が重要そうか

  • 1画面で任せる仕事を1つにする
  • 指先の先に重要な情報を置く
  • 一度に示す情報を減らし、説明を順番に分ける
  • たとえ話の後に、実際の仕組みとの対応を示す

代表研究

何を比べ、何が変わったのか。対象や条件と一緒に読みます。YataLogicによる実務への読み替えは、研究結果と分けて表示しています。

条件・指標によって異なる近い領域の研究

学習を案内するキャラクターには可能性

教育用の案内役を扱う研究をまとめたレビューでは、学習成果を扱った複数の分析で、小さい正の差が報告されていました。ただし、どのように設計すればよいかは、まだ確定していません。

研究では何を比べた?
教育用のキャラクターなどが学習を案内する研究をまとめたレビュー
何を測った?
学んだ成果や、学習への意欲など
対象
17レビュー(うち7メタ分析)
ここまでは言えません

教育の場面の研究です。企業の営業資料にキャラクターを置く効果を直接示してはいません。

YataLogicでの読み方:どんな説明の仕事を任せるかを決め、自社の内容でも理解を助けるか確かめます。

研究について詳しく見る(学習を案内するキャラクターには可能性)
研究デザイン
アンブレラレビュー
比較・研究条件
教育用エージェント研究のレビューを統合
測定指標
学習成果・動機等
主な結果
17レビュー中、学習成果を扱う7メタ分析はいずれも有意な正の効果を報告。一方で設計条件は未確定。
主要数値(尺度は研究ごとに異なります)
17レビュー、7メタ分析
言えること
教育用エージェントには平均的に小さい正の学習効果が示唆される。
重要な限界
企業の営業資料に置くキャラクターの直接効果ではない。
数値や研究方法についての補足へ ↓

Schroeder, N. L., Davis, R. O., & Yang, E.(2025)

Designing and Learning With Pedagogical Agents: An Umbrella Review

Journal of Educational Computing Research

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この条件では正の差近い領域の研究

説明する対象そのものに、顔や役割を持たせる

教材の説明対象そのものに顔などを付けて人のように表す研究では、理解すること、覚えておくこと、別の問題へ応用することに、平均して正の差が報告されました。

研究では何を比べた?
説明対象を顔付きで人のように表した教材と、その表現を使わない教材
何を測った?
理解できたか、覚えていたか、別の問題に応用できたか
対象
13論文・33実験
ここまでは言えません

会社のロゴの横にマスコットを置いた研究ではありません。統計値は改善率を表しません。

YataLogicでの読み方:仕組みの中で、それぞれの要素が何をするかを説明する場面への応用を考えます。

研究について詳しく見る(説明する対象そのものに、顔や役割を持たせる)
研究デザイン
系統的レビュー・メタ分析
比較・研究条件
顔付き擬人化教材 vs 非擬人化教材
測定指標
理解・保持・転移
主な結果
理解・保持・転移に正の統合効果。
主要数値(尺度は研究ごとに異なります)
転移SMD=.28、保持=.31、理解=.46
言えること
説明対象そのものを擬人化する設計は理解を助ける場合がある。
重要な限界
SMD=.46は46%向上ではない。企業ロゴ横のマスコット研究ではない。
数値や研究方法についての補足へ ↓

Liu, K., & Su, P.(2024)

Effectiveness of facial anthropomorphism design for improving multimedia learning outcomes: systematic review and meta-analysis

Smart Learning Environments

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この条件では正の差近い領域の研究

指差しで、見る場所を示す

画面上の講師の動きを扱った研究では、意味のある指差しなどによって、覚えておくことや別の問題への応用に小さい正の差が報告されました。見るべき情報を示す仕事が参考になります。

研究では何を比べた?
画面上の講師が、意味のある指差しなどをする授業を扱った研究
何を測った?
覚えていたか、別の問題に応用できたか、どこを見たか
対象
83論文・662効果量
ここまでは言えません

画面上の講師を扱った研究です。静止した企業キャラクターの効果を直接調べたものではありません。

YataLogicでの読み方:一番見てほしい情報を、キャラクターの指先の先に置く使い方を考えます。

研究について詳しく見る(指差しで、見る場所を示す)
研究デザイン
3レベル・メタ分析
比較・研究条件
意味のある指示的ジェスチャー付き画面講師
測定指標
保持・転移・注視
主な結果
指示的ジェスチャーで保持・転移に小さい正の効果。
主要数値(尺度は研究ごとに異なります)
保持g=.28、転移g=.31
言えること
指差しや目線は見るべき情報を限定するシグナルになり得る。
重要な限界
静止企業キャラを直接検証した研究ではない。
数値や研究方法についての補足へ ↓

Li, W., Kuang, Z., Leng, X., Mayer, R. E., & Wang, F.(2024)

Role of Gesturing Onscreen Instructors in Video Lectures: A Set of Three-level Meta-analyses on the Embodiment Effect

Educational Psychology Review

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あわせて確認した研究

この条件では正の差近い領域の研究

具体的な問いが、確認するポイントを作る

コンピューターで学ぶ場面の研究では、自分の学び方や理解を確かめる具体的な問いかけが、学習の進め方や成果を助ける結果でした。

研究では何を比べた?
自分の学び方や理解を確かめる問いかけを使う学習研究
何を測った?
自分で学習を進められたか、学習成果が得られたか
対象
コンピュータ学習の実験研究
ここまでは言えません

問いかけそのものを調べた研究です。キャラクターが質問することで差が上乗せされるかは分かりません。

YataLogicでの読み方:読み手が疑問に思いそうな点を、キャラクターが短く問いかける使い方を考えます。

研究について詳しく見る(具体的な問いが、確認するポイントを作る)
研究デザイン
メタ分析
比較・研究条件
メタ認知的プロンプト
測定指標
自己調整学習・学習成果
主な結果
具体的な問いかけに正の効果。
主要数値(尺度は研究ごとに異なります)
自己調整g=.50、学習成果g=.40
言えること
問いは読み手が確認すべき論点を明確にする。
重要な限界
質問の効果であり、キャラクター固有の上乗せ効果ではない。
数値や研究方法についての補足へ ↓

Guo, L.(2022)

Using metacognitive prompts to enhance self-regulated learning and learning outcomes: A meta-analysis of experimental studies in computer-based learning environments

Journal of Computer Assisted Learning

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うまくいかなかった研究・注意点

学ぶときの頭の負担にほとんど差がなかった分析や、アニメーションにしても理解の差が確認できなかった実験があります。

明確な差は確認されず近い領域の研究

案内役を加えても、頭の負担は減らない場合がある

教育用の案内役を扱った分析では、学習時に感じる頭の負担への平均的な差はごく小さいものでした。多くの比較で明確な差は確認されませんでした。

研究では何を比べた?
教育用の案内役がいる条件と、いない条件など
何を測った?
学習中に感じる頭の負担
対象
24論文・37比較
ここまでは言えません

追加するだけで負担が減るとは言えません。原論文の数値には一部不整合があり、細部は慎重に読む必要があります。

YataLogicでの読み方:キャラクターを加えるときは、本文・音声・動きで同じ情報を重ねすぎないようにします。

研究について詳しく見る(案内役を加えても、頭の負担は減らない場合がある)
研究デザイン
メタ分析
比較・研究条件
教育用エージェントあり/なし等の比較
測定指標
認知負荷
主な結果
全体効果は小さくほぼ無視でき、37比較中23で有意差なし。
主要数値(尺度は研究ごとに異なります)
g=-.053、24論文・37比較
言えること
キャラクターを追加するだけでは認知負荷は下がらない。
重要な限界
原論文のCI/p値等に一部数値不整合があり、細部は慎重に読む必要がある。
数値や研究方法についての補足へ ↓

Li, H., Wang, Z., Ding, L., Zhang, J., & Wang, G.(2025)

The facts about the effects of pedagogical agents on learners’ cognitive load: a meta-analysis based on 24 studies

Frontiers in Psychology

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明確な差は確認されず近い領域の研究

動く表現を加えても、理解は変わらないことがある

医薬品のテレビ広告を比較した実験では、実写やアニメーションなどの見せ方で、理解などに明確な差は確認されませんでした。アニメーションの条件は、実写より好意的な評価が低い結果もありました。

研究では何を比べた?
実写、アニメーション、実写をなぞって描くアニメーションを使った医薬品のテレビ広告
何を測った?
内容の理解、リスクや便益の受け取り方、行動したい気持ち
対象
n=504 / n=490
ここまでは言えません

この広告の条件での結果です。キャラクターやアニメーション全般が無効だという意味ではありません。

YataLogicでの読み方:動きを加える前に、数字が何を表すか、誰が対象か、どんな条件かを明確にします。

研究について詳しく見る(動く表現を加えても、理解は変わらないことがある)
研究デザイン
無作為化比較実験
比較・研究条件
実写 vs アニメーション vs ロトスコープの医薬品TV広告
測定指標
理解・リスク/便益認知・行動意向
主な結果
提示形式間に有意差なし。アニメ条件は実写より好意度が低い。
主要数値(尺度は研究ごとに異なります)
n=504 / n=490
言えること
動かすこと自体が理解の上乗せになるとは限らない。
重要な限界
キャラクター一般が無効という研究ではない。
数値や研究方法についての補足へ ↓

O’Donoghue, A. C., Betts, K. R., Parvanta, S., Johnson, M., Kelly, B., & Mack, N.(2021)

Effects of Animation and Rotoscoping in Direct-to-Consumer Rx TV Advertising: How Animation vs. Rotoscoping vs. Live Action Drive Perceptions and Attitudes toward Drugs

Journal of Advertising Research

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差が確認できなかったことは、あらゆる場面で効果がないという意味ではありません。逆効果も、そこで調べた条件の結果として読みます。

YataLogicでは、こう考えます

以下は、複数の研究を実務向けに整理した設計のヒントです。自社で同じ結果が出ると保証するものではありません。

研究で分かったこと

教育用の案内役を扱う研究をまとめたレビューでは、学習成果を扱った複数の分析で、小さい正の差が報告されていました。ただし、どのように設計すればよいかは、まだ確定していません。

YataLogicでの応用

どんな説明の仕事を任せるかを決め、自社の内容でも理解を助けるか確かめます。

元の研究と条件を確認する ↑
研究で分かったこと

教材の説明対象そのものに顔などを付けて人のように表す研究では、理解すること、覚えておくこと、別の問題へ応用することに、平均して正の差が報告されました。

YataLogicでの応用

仕組みの中で、それぞれの要素が何をするかを説明する場面への応用を考えます。

元の研究と条件を確認する ↑

実際に使ったら、何を見る?

任せた仕事に合わせて、次の反応を分けて確認します。

  • 本人が分かりやすいと感じたか
  • 内容を正しく答えられるか
  • 要点を自分の言葉で説明できるか
  • 別の問題にも応用できるか
  • 誤解が減ったか

研究についての補足

本文は数字を読まなくても分かるようにしています。統計値の意味を確かめたい方はこちらをご覧ください。

数値や研究方法の意味を確認する

数値は、研究で測った差や不確かさを確かめるための補足です。異なる指標を同じ「改善率」に置き換えることはできません。

Hedges' g / SMD / Cohen's d
異なる尺度の平均差を標準偏差単位でそろえた標準化効果量。 0.39は39%向上ではない。 g=.39 → 『標準化された差』と説明し、%へ変換しない。
RCT
対象を無作為に群分けする比較試験。 一般に因果推論に強いが、その介入全体の効果。 キャラクター以外の機能が同時に入る場合は単体効果と呼ばない。
メタ分析
複数研究の結果を統計的に統合する方法。 研究間の違いが大きい場合、平均値だけでは不十分。 I²や対象・介入の違いも確認。
NS / 有意差なし
統計的に明確な差を確認できなかった状態。 『効果がゼロと証明された』とは限らない。 『この条件では有意差が確認されなかった』と書く。

本ページの整理は、YataLogicが複数の研究を実務向けに読み合わせたものです。科学的に確立された独自モデルではありません。

参考文献

このページでは6論文・資料の6件の結果を扱っています。同じ論文の別の結果は、分けて紹介しています。

  1. Schroeder, N. L., Davis, R. O., & Yang, E.(2025)

    Designing and Learning With Pedagogical Agents: An Umbrella Review

    Journal of Educational Computing Research

    原論文・原資料を見る(外部サイト・新しいタブで開きます)

    紹介した結果:学習を案内するキャラクターには可能性

  2. Liu, K., & Su, P.(2024)

    Effectiveness of facial anthropomorphism design for improving multimedia learning outcomes: systematic review and meta-analysis

    Smart Learning Environments

    原論文・原資料を見る(外部サイト・新しいタブで開きます)

    紹介した結果:説明する対象そのものに、顔や役割を持たせる

  3. Li, W., Kuang, Z., Leng, X., Mayer, R. E., & Wang, F.(2024)

    Role of Gesturing Onscreen Instructors in Video Lectures: A Set of Three-level Meta-analyses on the Embodiment Effect

    Educational Psychology Review

    原論文・原資料を見る(外部サイト・新しいタブで開きます)

    紹介した結果:指差しで、見る場所を示す

  4. Guo, L.(2022)

    Using metacognitive prompts to enhance self-regulated learning and learning outcomes: A meta-analysis of experimental studies in computer-based learning environments

    Journal of Computer Assisted Learning

    原論文・原資料を見る(外部サイト・新しいタブで開きます)

    紹介した結果:具体的な問いが、確認するポイントを作る

  5. Li, H., Wang, Z., Ding, L., Zhang, J., & Wang, G.(2025)

    The facts about the effects of pedagogical agents on learners’ cognitive load: a meta-analysis based on 24 studies

    Frontiers in Psychology

    原論文・原資料を見る(外部サイト・新しいタブで開きます)

    紹介した結果:案内役を加えても、頭の負担は減らない場合がある

  6. O’Donoghue, A. C., Betts, K. R., Parvanta, S., Johnson, M., Kelly, B., & Mack, N.(2021)

    Effects of Animation and Rotoscoping in Direct-to-Consumer Rx TV Advertising: How Animation vs. Rotoscoping vs. Live Action Drive Perceptions and Attitudes toward Drugs

    Journal of Advertising Research

    原論文・原資料を見る(外部サイト・新しいタブで開きます)

    紹介した結果:動く表現を加えても、理解は変わらないことがある

では、自社なら?

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